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我が家の四猫物語

  • asabuki
  • 2021年9月8日
  • 読了時間: 3分

 我が家の四猫物語(12)とりあえずの完結篇


 アーペッペンはケージ生活を始めて一週間、毎日、液体の鎮痛剤とお腹の薬を飲んでくれた。これは幸運だった。というのも仔猫時代はウェットの缶詰、アルモネイチャーの大西洋マグロもときどき食べていたのだが、ここ数年はドライフード一択、それも特定の商品しか食べていなかったからだ。他の仔たちに新しい缶詰やドライフードをあげているとわざわざそこへ行っていらないいらないと隠すそぶりをする。アーペッペンのじゃないよと言っているのに。私の手経由で水道水を飲むことはあったが、置いてある循環する水もあまり飲んでいなかったのだろうか、水分が足りていなかったようだ。

 久しぶりに大西洋マグロの缶詰を与えたら食いつき良く食べるので、そこに薬をまぜて食べさせた。ケージの中にはトイレも設置されているのだが、それは使わず、ウンはケージの中に振り撒いている。

 私はタイミングを計ると同時に気配をも察するようにして、昔から使っている蓋をはずしたクレバーキャット(これも私の寝室に入れた)のトイレに抱きかかえて入れてあげるとそこでオシッコはする。そのようにして一週間が過ぎていった。最初の内はそう広くもないケージの中でも暴れてウンを振り撒いていたが、トイレではしないものの、徐々に暴れるようなこともしなくなっていった。

 一週間の投薬が終わったその翌々日だった、オシッコのために抱いてトイレに入れると何とそこでウンをしたのだ。6月半ば以来、二ヶ月たって始めてトイレでウンをしたのである。し終わるとすぐにトイレから飛び出るので、外に、少しこぼれるのだが、これは画期的なことだった。つい一週間ほど前のことだ。

 なんとOZ先生は名医であることか! あるいはこういうことはそう珍しい事例でもないのか、とにかく対処法をすぐさま指摘し、投薬も始め、薬がなくなるころには症状が改善されてきたのだ。

 それ以来、二日に一回くらいのペースでウンをするが、一進一退という感じで、自分からトイレに入ることはまだせず、私がトイレに連れていくタイミングを間違えるとケージの中ですることもあるのだが、徐々にだがトイレでする回数も増えてきている。

 昼間は皆と居間で過ごす時間もつくってみようか。

 アーペッペン久しぶりの登場です!

 十日ぶりで私の寝室から出てきたときには、まっ先にYvesが駆け寄ってきて心配そうに鼻をこすりつけてきた。蕨も嬉しそうに見つめている。本当はおもいっきりタックルしたいのだろうが遠慮しているのか、ちょっと遠巻きにしている。しかし恋する少年の視線はアーペッペンにくぎづけだ。ルミこと忠信はソファーで瞑想しながらもちらちらとアーペッペンの方に視線を向ける(実は忠信公もアーペッペンに老いらくの恋っぽいところがある、いや間違いない)。Yvesもアーペッペンが居間にいるときは外の見廻りはお休みしてピアノの上から居間を見守っている。

 男ばかりに囲まれ、モテすぎてこちらからすると鬱陶しそうな感じがするのだが、アーペッペンはあまり気にせず、最初は居間の隅っこにいたものの、すぐに私の隣の椅子にのぼってくつろぐようになった。少しずつではあるが、猫じゃらしなどで遊ぶようにもなってきたのだ。

 このようにして、以前のように我が家の四猫が居間に揃うようになり、振り撒き事件にさんざん振りまわされた私たちの夏もようやく終わろうとしている。

 (完)

 (いったん筆を置きます。ご愛読ありがとうございました。後日談、あるいは四猫それぞれの日常生活はいずれまたの機会に……。)


 
 
 

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