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我が家の四猫物語(3)

  • asabuki
  • 2021年8月30日
  • 読了時間: 3分

 アーペッペンとYvesの仲良し生活はつづいていく。当初、これは保護団体ミグノンのポリシーでケージ飼いをしていた。災害があったときなど、ケージで暮らすことを憶えておかないと困るという理由だったと思う。それで昼間はケージから出して、夜寝るときにケージに入れるというポリシーに従っていたのだが、徐々に夜もケージのドアは開けておいて、我々と遊ぶようにするようになり、やがて私たちと同じ空間で生活するようになってケージを卒業した(しかしケージは思いもかけない形で再登場する)。

 たいそうよくみなで遊んだ。一体どれだけおもちゃを与えたことか。二人とも最初はよく遊ぶのだが、すぐに飽きてしまって見向きもしなくなる。そしてまた別のおもちゃを与える、その繰りかえしだ。

 アーペッペンもYvesもトイレは実に叮嚀で、粗相もせず、アーペッペンはきちんと砂をかけて痕跡をいっさい見えなくする。Yvesも基本はそうなのだが実に不思議なことをするのだ。

 Yvesはトイレで便(以後「ウン」と表記しよう)をした後、立ち上がって空中を搔く行為をする。それも何度も何度もする。時々下を見て確認するのだが、当然ウンは隠れていない。それでまたエアー砂搔きをする、それを繰りかえすのだ。立ち上がるとき少しだけ勢いで砂がウンにかかるので、最終的には少し砂がかかったようになるのだが、それは砂かけをしたからではなく、ただウンの回りを立ち上がって空中で砂を搔くジェスチャーをするからなのだ。実はすごく清潔好きなのだが、どうしても実際の砂を搔くという発想には至らないみたいなのだ。われわれが実際に砂をかいて見せたりもしたが何故か下を向いて砂をかくということはできなかった。これがつい最近まで七年間も続くことになる。

 2ヶ月前、実はアーペッペンのウン問題というのが発生する。それがあまりにも悩ましいので、誰かに聞いて貰いたいと思うようになって、それがこの「四猫物語」を書くきっかけのひとつになっているのだが、その問題でいろいろなトイレも導入してみた。そのひとつにシステムトイレというのか、ドーム型の屋根がついているトイレがあって(今まではずっとクレバーキャットという深いトイレを使っていた)、そこに非常に粒子の細かい鉱物砂を入れてあるのだが、それをYvesは好んで使うようになった。しかし、当然屋根があるので立ち上がれず、しかたなく下を向いて実際のウンへ向けて砂をかけるようになったのだ。ただかけるだけではない。いとおしそうに砂をかき集めてはウンが完全に見えなくなるまで上に砂を盛っていく。Yvesはずっとこれがしたかったのだ! 何と生まれて七年にして始めて砂をかけるという行為をエアーではなく行うことが出来るようになったのだ。何だか滑稽でもあるがちょっと不憫でもあり、ますますYvesが愛おしく思えている。

 さて、ケージではなく、人とベッドで寝るようになって困った事態が発生するのだ。

(つづく)

 
 
 

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